話題 の本レビュー書くぞい

話題の本 の読書レビューです。

2020.06.14."嫌われる勇気” 国内200万部、国外285万部の大ベストセラー本

フロイトユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されるアドラーの思想を「青年と哲人の対話篇」という物語の形式を用いてまとめた一冊。「人は変われる。世界はシンプルである。誰もが幸せになれる。」と説く。

 

あらすじ

(第一夜)トラウマを否定せよ

原因論ではなく、目的論の立場をとる。

・経験によるのではなく、経験に与える意味によって影響が決まる。

・ライフスタイルは変えられるが、勇気を必要とする

(第二夜)すべての悩みは対人関係

・自慢する人は劣等感を感じている。

・目的論は「使用の心理学」である。

・行動面の目標⇒「自立する事」と「社会と調和して暮らせる事」

・心理面の目標⇒「私には能力があるという意識」と「人々は仲間であるという意識」

(第三夜)他者の課題を切り捨てる

・他者からの承認欲求を切り捨てる。

・他者の課題には踏み込まない。

・課題の分離(結び目)は解くのではなく、切る。

(第四夜)世界の中心はどこにあるか

・私は共同体の一部であって中心ではない。

・叱ってはいけない。ほめてもいけない。

・「縦の関係」を否定。「横の関係」を提唱。

・一つでもいいから他者との間に「横の関係」を築く事から始まる。

(第五夜)「今、ここ」を真剣に生きる。

・人生は連続する点であり、で線ではない。

・人生に目的地は存在しない。結果として何処かへ向かう。

・今、ここに強烈なスポットライトを当てよ。

・他者貢献という「導きの星」を掲げる。

まとめ

アドラー心理学ギリシア哲学と同一線上にある思想である。本書はソクラテスプラトンが対話するイメージで物語形式を用いたもの。すべての悩みは対人関係にあり、「課題を分離」することが解決の出発点である。対人関係のゴールは「共同体感覚」にある。他者に対する貢献感を持ちながら、今を真剣に生きる事が幸福につながる。

感想

本書が大ベストセラーとなったカギは、青年と哲人の対話形式を用いてアドラーの思想をかみ砕いて説明する手法にあったと思われる。青年の間違った認識を根気強く、納得がいくように対話する物語は新鮮で、充実した時間を味わえる。

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岸見一郎、古賀史健 共著            ダイヤモンド社

 

2020.06.10. ”ビジネスで勝つ ネットゲリラ戦術 詳説” 人、金、モノを持たないものが成功する方法

コロナ禍の今、オンラインが注目されています。炎上などに苦しむ人がいる一方、新しいルールを飲み込んでネットゲリラ戦を有利に展開している人もいます。本書は一部の人達の間ではなんとなく知られていた新しいルールを明確にしようと試みたものです。

 

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概略

(前半)  ビジネスゲリラの贈与戦略について

・贈与を武器に人心をつかむ。

・着目すべきは金よりも感情。

SNSで好感情を贈与する。

・贈与は大きさよりも頻度が大事。

・朗らかで気持ちのいい人格は周囲への贈与。

・役割を与えることで存在意識を贈与。

・役割を贈与する為、色々な仕事のチャンネルを持っておく。

 

(後半)      ビジネスゲリラの組織、戦術について

・ゲリラ組織は雇用をせずプロジェクト単位で頼み事をするので、責任が生じにくい。

・ゆるいつながりの組織は、コンプライアンス違反を恐れなくてよい。

・武器はスピードとトライ&エラー、挑戦的な姿勢。

・勝利を得たらその勝利を宣伝する。いつでも目に触れるようにしておく。

・オンラインで接触し、薄く頻繁につながる事。又、利害を共有し続けることが大事。

・実行と撤退のスピードはゲリラが勝つ為の数少ない要素。

 

まとめ

人、金、モノを持たないしょぼい個人が勝ち残るためには、正規軍のルールに乗らないのが重要。感情に訴える贈与を武器にして、決断、実行、撤退は独裁的に行う。又、つながりはゆるいほうが上手くいく。

 

感想

元やきとり屋の店主である私は、本書の考え方の多くでわかる、わかると共感できました。一方ネット戦術には詳しくないので知らなかった事も多かったです。ビジネスゲリラのお手本に DJ社長さん、岡崎体育さん、N国党を挙げていたのも興味深いです。

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えらいてんちょう                  
  KKベストセラーズ

 

2020.6.10. ”しょぼい生活革命” 新しくも懐かしい生活実践の提案

ほんとうに新しいものはいつも思いがけないところからやって来る。熟達の武道家から若き起業家へ「生き方革命」のバトンを渡す。

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   概略

(前半)育った環境、共同体について

・両親は東大全共闘の生き残り

・桃太郎の代わりにマルクスの話で育つ

全共闘に欠けていたのは心を鎮めた身体性

・内田の「困難な結婚」と矢内の「しょぼ婚のすすめ」

・共同体の基本は参加者全員が持ち出し

・公共とは手持ちの資源の内からどれだけ差し出せる物があるかを考える事

 

 (中盤)資本主義、教育、福祉について

・資本主義はそこらへんで物を売ってもいいというのが基本

・株を貨幣に換算してはいけない

・株主は賞品やサービスを安定的に享受できるという事実そのものを「配当」とみなす  べき

 ・生産性を上げることは雇用を奪うこと

 ・最低賃金法というのはある意味で罪深い制度

 ・福祉制度を設計する上で大事なのは屈辱感を与えないこと

 

     (後半)宗教とあるべき未来について

・150年前から精神的にも政治的にも経済的にも敗者が割を食っている

明治維新の宗教の国家統制から時間を経て、土着的な宗教性の再生が起きている

・世の中はひどく悪い時と普通に悪い時の波が交互に来るだけ

・若い国の政治過程は複雑、老衰した国は単純化する

・日本・韓国・台湾の安定的関係が安全保障のカギ

一党独裁が いいと思っている政治家や経済人は大勢いる

 

      まとめ

60年代末の学生運動、共同体、結婚、教育、福祉、宗教、ビジネスなどに通じう考えを持つ2人と通じ合う司会者の対談。先賢たちからの贈り物を未来に送り届ける為に希代のパッサー3人が語り合う。

 

       感想

本書は40歳も年齢の離れた内田氏と矢内氏がお互いの生まれ育ちから日本の未来 までを実直に語り合ったものです。司会の中田氏の導き方も絶品でした。何回も 読み直したい本です。

 

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内田樹×えらいてんちょう×司会・中田考                           晶文社

 

<レビュー>"最後の将軍" 周囲に担がれ、振り回し、振り回された人生〜

主人公は幕府にとって危険人物の子供として生を受けました。

 そして権力者に担がれ、時勢によって幕府のトップとなりました。

優れた頭脳と行動力を持ち、周囲を振り回し、振り回された

最後の将軍”   徳川慶喜の一生を描きます。

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 あらすじ

(前半)担がれる

主人公尊王攘夷運動の中心となる水戸家に生まれました。養子となり、 一橋慶喜となった彼は周囲に期待され、担がれるようになりました。そして安政の大獄が行なわれ桜田門外の変が起きました。 

  (中盤)振り回す

朝廷と薩摩藩の圧力により慶喜将軍後見職となりました。権力を持ち、周囲の期待を集めますが逆に周囲を振り回すようになります。攘夷決行を指示しながら職を辞し、開国へ走るかと思えば港の閉鎖を主張しました。次第に朝廷、雄藩の中心人物は慶喜の立場を鮮明にするようになります。そして将軍家茂が亡くなり孝明天皇も亡くなった事で、後ろ盾を失った状態での将軍就任となりました。

   (後半)振り回される

将軍慶喜は雄藩との最後の会議も決裂した後、武力討幕をかわす為に大政奉還を決断します。ところがここから大久保、西郷、岩倉(薩摩と朝廷)に振り回される様になります。辞官納地により権力を失い、挑発により挙兵する事になり、官軍の印である錦の御旗の登場で賊軍とされます。江戸城無血開城謹慎生活に入った慶喜は、33歳から表舞台から姿を消し大正2年の77歳まで生き、水戸家の様式で葬儀を行いました。

 

   まとめ

ペリー来航以来、混乱に陥っている政界に将軍後見職として期待されて登場した慶喜ですが、抗いがたい時勢に逆らいながら自ら幕府を葬る事になりました。

 

   感想

慶喜の人生を振り返ると正解の道を歩んだとは言いずらいですが、正解の道は何であったの判断も難しいです。国として向かう方向は二転三転しましたが植民地にはされず、後に国力も付けることに成功しました。また、幕末の権力者は短命の者が多いですが、慶喜は長生きをした数少ない者の一人です。そう考えると彼は成功者なのかも知れないのです。

 

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司馬遼太郎 著 文春文庫

 

2020.5.5. 日本文化案内としてのユニークな視点 ”日本文化の核心 「ジャパンスタイル」を読み解く”

本書は日本文化解読のためのジャパンフィルターを手掛かりに、日本の歴史文化を       ちら見しながら目の前の出来事、娯楽を読み解いたものです。米フィルター,仮名フィルター、神仏習合フィルター、面影フィルターなどが手掛かりになります。                    ”あらすじ””まとめ””感想”の順に書いていきます。

 

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あらすじ

<前半>     古代日本の共同体の原点について

1.「稲・鉄・漢字」と「柱の国」作り

2.  漢に学び、漢から離れる

3.  日本人の往来観

4   神様の正体

5. 「和」と「ヤマト」と「日本」

6. 「ヒルコ」から「えびす」へ

 

<中盤>     日本の型、システム、学びについて

1.  型、間、拍子

2.  ポケモンかぐや姫

3. 「まねび」から「まこと」へ

4.  ブランドとしての「家」

5.  バサラの系譜

6.  庭と経済

7.「粋」と「野暮」

 

<後半>     現代日本に広がる症状ついて

1.  祝詞に残る情報文化の起源

2.  権力が行方不明の国

3. 「おもかげ」と「うつろい」

 

まとめ

本書は日本の社会を生命観、歴史観、文化観を通して編集的な日本像を描こうとした  スケッチブックです。あらゆる現象を情報化し、次に編集化を行ってきた日本文化は      わかりにくいと見える文脈や表現にこそ真骨頂があるのです。

 

感想

日本文化のすばらしさを「たらこスパゲッティ」「忌野清志郎」「AKIRA」などの切り口で表し、文化や哲学を解説する為に「愚管抄」「五輪書」「茶の本」「夜明け前」に戻ろうと言う著者の視点はユニークです。「ジャンル」や「時代」や「思想」を飛び越え、同時に解読するという試みは刺激的で新鮮でした。

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松岡正剛講談社現代新書

 

 

 

2020.4.25. 日本の歴史という美しい”虹”を描いた ”<増補>決定版・日本史”

本書には大きな特徴が二つあります。一つは著者の史観を軸にして日本史を記述している点であり、もう一つは日本の国体(国の体質)の変化について記述している点です。この特徴は日本の自虐的な東京裁判史観を改めて、誇りに思える歴史観を取り戻したいという思いから出ているのです。その内容を”あらすじ””まとめ””感想”の順に記入していきます。

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あらすじ

第一章  古代  →  日本人のメンタリティーの原型について。平安時代まで

  *国体の変化①⇒用明天皇の仏教信奉。

第二章  中世  →  武家政権の始まりから応仁の乱まで 発布

  *国体の変化②⇒源頼朝による武家政権誕生。

  *国体の変化③⇒承久の乱により皇位継承の決定権の変更。

第三章  近世  →  戦国時代の始まりから桜田門外の変まで                                                  

第四章  近代  →  幕末から太平洋戦争まで

  *国体の変化④⇒ドイツを参考にした明治憲法発布。

第五章  現代  →  終戦から平成24年まで

  *国体の変化⑤⇒アメリカ占領下での日本国憲法

 

まとめ

王朝の断絶のない日本の歴史には神話の伝承は必要であり、日本の国体(国の体質)は 断絶した事はないが、五回の大きな変化があったのです。そんな日本には世界に誇れる歴史があるのです。

 

感想

本書に書かれている事が真実であるか否かは別にして、義務教育をはじめあらゆる所で日本の歴史は負の部分が強調される事が多いです。しかし違った角度から見る歴史感があるのだと認識を新たにしました。

f:id:jyunichig0730:20200425182110j:image       扶桑社文庫                   渡部昇一

 

 

2020.4.12. ベストセラー ”嫌われる勇気” に続く第二弾 「幸せになる勇気」

  本書は、前書”嫌われる勇気”と登場人物が同一であり、前作で学んだ事を仕事で実践した青年が、哲人に対して文句を言うという形で始まります。

その内容に対して丁寧に応対する哲人という対話形式で進行していき、第五部まで進みます。その内容を  "あらすじ”  ”まとめ”  ”感想”   の順番に記入していきます。

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    あらすじ

第一部は アドラー心理学の扱い方について。

第二部は 仕事場での考え方について。

第三部は 仕事の目指す方向について。

第四部は 対人関係の目指す方向について。

第五部は 幸せを得て、それを継続するためにはどうすべきかについて。対話がなされます。

 

     まとめ

幸せになる為にはアドラー心理学の考え方を取り入れ、自己中心性から脱却して他者を愛するライフスタイルを取り入れることを勧めます。

 

      感想

アドラー心理学は哲学に近いのです。

考え方を取り込まずに技術のみを使うと劇薬となります。対人関係は縦の関係(競争の関係)ではなく、横の関係(協力の関係)を目指す事を勧めます。そして自己中心性から脱却して他者を

愛するライフスタイルに変更し、それを継続する事が重要なのだと説きます。少しずつゆっくりと実践していきたいものです。

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      ダイヤモンド社          岸見一郎、古賀史健   共著