2020.6.10. ”しょぼい生活革命” 新しくも懐かしい生活実践の提案
ほんとうに新しいものはいつも思いがけないところからやって来る。熟達の武道家から若き起業家へ「生き方革命」のバトンを渡す。
概略
(前半)育った環境、共同体について
・両親は東大全共闘の生き残り
・桃太郎の代わりにマルクスの話で育つ
・全共闘に欠けていたのは心を鎮めた身体性
・内田の「困難な結婚」と矢内の「しょぼ婚のすすめ」
・共同体の基本は参加者全員が持ち出し
・公共とは手持ちの資源の内からどれだけ差し出せる物があるかを考える事
(中盤)資本主義、教育、福祉について
・資本主義はそこらへんで物を売ってもいいというのが基本
・株を貨幣に換算してはいけない
・株主は賞品やサービスを安定的に享受できるという事実そのものを「配当」とみなす べき
・生産性を上げることは雇用を奪うこと
・最低賃金法というのはある意味で罪深い制度
・福祉制度を設計する上で大事なのは屈辱感を与えないこと
(後半)宗教とあるべき未来について
・150年前から精神的にも政治的にも経済的にも敗者が割を食っている
・明治維新の宗教の国家統制から時間を経て、土着的な宗教性の再生が起きている
・世の中はひどく悪い時と普通に悪い時の波が交互に来るだけ
・若い国の政治過程は複雑、老衰した国は単純化する
・日本・韓国・台湾の安定的関係が安全保障のカギ
・一党独裁が いいと思っている政治家や経済人は大勢いる
まとめ
60年代末の学生運動、共同体、結婚、教育、福祉、宗教、ビジネスなどに通じ合う考えを持つ2人と通じ合う司会者の対談。先賢たちからの贈り物を未来に送り届ける為に希代のパッサー3人が語り合う。
感想
本書は40歳も年齢の離れた内田氏と矢内氏がお互いの生まれ育ちから日本の未来 までを実直に語り合ったものです。司会の中田氏の導き方も絶品でした。何回も 読み直したい本です。